木造建築の耐久性にとって最も重要なことは生物劣化の抑止です。
木材の生物劣化の主なものは腐朽と蟻害です。本プロジェクトでは、日本で実績のある防蟻方法がタイにおいても有効であるかどうか、実験的に検証しました。
数種類の防蟻対策を施したスギ製材をコンテナ内と屋外(杭状)に暴露し、シロアリ食害状況を観察しました。天然ピレトリン、ホウ酸、CuAz(銅-アゾール系化合物)を塗布したスギ材と、何も塗布していないスギ(辺材・芯材)、そして、オーストラリアで開発されたアリの侵入を防ぐステンレスメッシュでスギを覆った材の計14個の試験体をそれぞれ、外部(土の中)と内部(コンテナの中)に設置して実験を行いました。
試験体は13ヶ月タイの南部の森の中に設置されました。
ステンレスメッシュで覆った試験体の食害、CuAz処理した試験体はコンテナ内、屋外ともに食害痕は見られませんでした。
天然ピレトリン処理試験体は屋外ステンレスメッシュなしのものにわずかに食害痕が見られました。
心材(ステンレスメッシュ以外)、ホウ酸処理材(耐候操作なし)は一部試験体に食害が見られました。
ホウ酸処理(耐候操作あり)および無処理試験体は著しい食害が確認されました。